書きたい、書きたいと思いながらなかなか書けていなかった鉱物のお話をさせて頂ければと思います。
その鉱物との出会いは、かれこれ4〜5年前になるでしょうか。
その鉱物とは、 熊野のしろいし 蘇りの霊石 です。
展示会で出会った不思議な白い石
友人と鉱物の展示会に出かけていた私でしたが、どういうわけかその日は良い出会いに恵まれませんでした。
いつもなら、展示会場を回っている中で何度か「うわー!!この子、素敵!お迎えしたい!」という子(石のことです)に出会えるものですが、もうサッパリでした。
一緒に会場を巡っていた友人は、次々と出会いに恵まれ、本当に素敵な子たちをお迎えしていたので、出会いのない私を少し気遣いはじめてくれていた頃でした。
石ともだちだいぶ回ったけど、あっちの方はまだ行ってないよね。あっちも回ってみようか!



そうだね〜
それにしても、今日はまだ出会いがないなあ〜



これからだよ!絶対出会いはあるよ、なんか、そんな気がする!



うん、そうだね!
何だろう?今日はいつもと違う感覚がするんだよね、待ってるというか。
本当にこの日は不思議な日でした。
何かが起こる、でも、それはまだ起こっていない・・・そんな予感がありました。
広い会場を何度も何度も回ったはずでしたが、一区画まだ見ていないエリアがあり、まだ見ていないそのエリアに疲れ切った足を向けることにしました。
朝一で入った展示会場にはすでにかなり多くの人が出ていて、ピークに達しようかとしていました。
そこで、ふと、人垣が途絶えているブースが目につきました。



あ、ちょうどここ、人がいなくて見やすいな!
何を置いているんだろう…
と覗き込むと、そこには不思議に神々しく輝く小さな白い石がたくさん並んでいたのでした。



こ、これは…!
ちょっといい?
ちょっと、ここ、見たい!!
と後ろから歩いてきていた友人に急いで声をかけました。
蘇りの聖地 熊野の『しろいし』
派手さのない、どちらかというと地味に陳列してある白い石たち。
ただの白い石?
いや、なんだこの石、すごく清々しい…
今まで出会ったことがない感覚…
日本の石なのかな…?


未だかつて目にしたことがない不思議に存在感のある石が気になり、思い切ってお店の方に声をかけてみました。



あの、見ても、いいですか?
すると、やや年配の女性がにこやかにスラスラと石の由緒を教えてくださいました。



ええ、どうぞ、どうぞ〜!
これはね、熊野から続く七里御浜の石でね。シチリミハマというのは世界遺産になっている浜街道なのよ。世界遺産指定されているから拾う資格のある人しか持ち帰れない貴重な石なの。



熊野といえば、八咫烏(やたがらす)でしょ?
この石には八咫烏がいるのよ?
ほら、ここ!
もう何度も同じ説明をいろんな方にされているのでしょう、マシンガントークばりにすらすらと由緒を教えていただき、その不思議な白い石を手に取ってみると、確かに黒い点々が。





あ!ほんとだ!黒い点、いっぱい入ってる!
これは鉱物としては何なんですか?



雲母ね



雲母ですか〜!
黒い点々の模様がいろいろあって、本当に鳥とか花っぽく見えるものがありますね!



ベースの白い部分は花崗岩の一種と言われてるのよ
ちなみに、後日調べて見たところによると、このベースの白い部分は、アプライトと呼ばれる鉱物でした。
有色鉱物をほとんど含まない岩石で、岩脈状に産することが多い。
化学組成はペグマタイトとほぼ一致しており、石英や長石の結晶が集まった緻密な岩石。
有色鉱物として電気石や柘榴石(ガーネット)を含むものがある。
さらにコトバンクにはこのように記載がありました。
半花崗岩(はんかこうがん)
aplite
白色で中粒ないし細粒の等粒状組織を有する火成岩。アプライトとも呼ばれる。石英,カリ長石,曹長石,白雲母を主とし,ときに黒雲母,柘榴石,ジルコン,電気石,トパーズ,緑簾石などを少量伴うことがある。花崗岩,閃緑岩などに伴って岩脈状の岩体をなして産出する。組成は花崗岩質のものから斑糲岩質のものまで広範囲にわたるが,通常は花崗岩質のものをさす。粒子の大きさが大きいものはペグマタイトと呼ばれ,成因的に関係が深いものと考えられる。コトバンクより参照
この説明によると、八咫烏模様は黒雲母ということですね。
少し透明な粒々も見えますから、その部分は石英や曹長石かもしれません。
花の窟神社にも奉納されている霊石
後ろからついてきてくれていた友人に声をかけ、一緒に見てもらうことに。



ねえねえ!見て見て!この白い石!私、気に入っちゃった!
すごく綺麗だし、なんか好き!



わーーーー!いいねえ!なんていう石?
私の食いつき具合にすっかり気を許してくれたのか、お店の方のマシンガントークが炸裂。スラスラと由緒と八咫烏に見える雲母を紹介しながら、初めて聞く話をいろいろと教えてくださいました。
聞けば、このしろいしは、熊野神社への参道である七里御浜の海岸で拾うことができるそうです。
すぐ近くには、花の窟神社という神社があり、そちらにもこのしろいしはご奉納されているのだとか。そもそもこの花の窟神社の御神体は巨大な磐座で、その磐座こそがこのしろいしと同じ鉱物であるとのことでした。私は実際に花の窟神社にご参拝に行ったことはありませんので、ネットで現地の様子を拝見してみましたが、白くて巨大な磐座が確かに鎮座されていました。
花の窟神社の御祭神は、伊弉冊尊(イザナミノミコト)。そして、火の神として有名な軻遇突智尊(カグツチノミコト)。



伊弉冉尊様は、軻遇突智尊様をお産みになった際に亡くなられたんだったよね。その二柱様が一緒に祀られている神社なんだなあ。
母子で一緒にいられたはずの時間を、時を経て今現在一緒にお過ごしになられているのかな、と思うと二柱様の神様を一緒に御祀りしてくださっている花の窟神社がより尊い場所に思えてきました。
花の窟神社の御神体の前には、大きなしろいしがたくさん敷き詰められています。
そして、このしろいしですが、『拾い子さん』と呼ばれる石を拾う資格を持った一族の方のみ、採集を許されているのだそうです。



私の親族の伝手でね、その『拾い子さん』の資格を持っている方から卸していただいているの。私の知る限りでは、もう、そのお一人しか残っていないの。だから、その方が拾うのを止めてしまわれたら手に入らないのよね。
そんなお話を伺いながら、私たち二人はこの神聖な霊石にすっかり魅了されてしまい、それぞれ気に入ったものを購入させてもらうことにしました。
石友達である友人との関係で嬉しいことは、好きなものや選ぶ石の方向性は似ているのに、選ぶ石が被ることがない点です。つまり喧嘩になりません。
似ているようで、全く違う、しろいしたち。
それぞれ自分にあった石をお迎えすることができました。私がお迎えさせていただいた子のうちの一つがこちら。


そして、もう一つがこちら。
この子はまさに、ああ!八咫烏が飛んでいるように見える!と感激した子ですね。


由緒書きからの抜粋
こちらのしろいしを購入すると由緒書きをいただけますが、その由緒書きの内容を引用させていただきます。
隈取りの境界をくまと云い、その場所には神が宿ると云われ、その地形から熊野という地名が生まれました。
熊野は世界遺産、熊野古道の中に在り、吉野熊野国立公園に指定されております。周囲には五つの世界遺産が集中し、世界でも大変貴重な地域であります。
その中に日本書紀にも記されている日本最古の神社である『花の窟』が在ります。花の窟神社は伊弉冉尊(イザナミノミコト)が天照大神を始め数多の神々を産んだ聖地であり、また、御陵でもあります。
熊野三山(熊野本宮大社・速玉大社・那智大社)の根源地として、古代信仰の第一級の神域であります。
花の窟の神前には神域:七里御浜(世界遺産)のしろいしが敷かれております。
熊野しろいしには神が宿り、五穀豊穣と神の恵を授かり、霊魂などの超自然的存在との繋がりを感じ、熊野しろいしを持つことによって、厄災を祓い神の加護を授かる事が出来ると云われております。
世界遺産でもあり、吉野熊野国立公園の七里御浜では、一木一草、小石一つでも動かす事も、持ち帰る事も許されません。
私共の一族に代々熊野しろいしを採取する事が許され、拾い娘と云われる人が、一つ一つ手拾いで集められております。
この世界遺産の熊野しろいしは、貴重で希少な敬虔あらたかな神の白石であります。
ご利益についても書かれています。
この白石は熊野より22kmも続く日本で一番長い砂礫海岸で一つ一つ手拾いで集められ、全国の神社に奉納されている神聖な石であります。
この白石は、浄化、除災、復活再生のご利益があると古来より伝えられております。
七里御浜は熊野古道の浜街道と言われ、蘇りの道とされていたとも書かれています。
そこから、その”白石”は、復活・再生のご利益があるとされている、とのことでした。
ダイヤモンドや水晶のような煌びやかさはありませんが、実に日本らしい、控えめな美しさの中にも芯のある強さと包容力が感じられる霊石だと感じました。
貴重な出会いに感謝です。今回もありがとうございました!










