さて、こちらから登り進めてきました登山道。

唯一の難所である約200段の階段を登って、登って、やっとの思いで頂上まで辿り着くことができました。
これより神域。寶登山神社の奥宮へ。
200段ですから、階段としてはそこまで段数はなかったのですが、一段一段の高さがあるので、思っていたよりも体力が必要でした。登りきった先に頂上が見えてきた時は心底ほっとしました。
頂上から少しだけ下ったところに寶登山神社の奥宮があります。山頂到達も嬉しかったのですが、私はこちらへのご挨拶も楽しみにしていたので、期待と緊張でそわそわしながら向かいます。

ここも霧が立ち込めていて雰囲気抜群です。白く霞んだ奥を伺うように覗き込みますが、よく見えないですね。それがまたいいです。

寶登山は千古乃霊場、とあります。

日本武尊が祭祀を営んだ霊地。書かれている通りに厳かな気持ちで静かに奥宮のある方へ歩みを進めます。

寶登山神社、奥宮の鳥居です。写真ではなかなか伝わりにくいのですが、この鬱蒼とした木々を背景に聳えている鳥居が静かな迫力で迫ってくるようなんですよね。もう、ほんと、畏れ多くて、ただただ見上げてしまいました。一礼して潜ります。

ふっと、振り返り、うわ!と思わず声を出さずに心の中で叫んでしまいました。霧の中に立つ鳥居と向こうに広がる光の風景。境内は鎮まりかえり、内と外とでまったく違う空間です。夢の中に迷い込んでしまったかのようです。
未來楽あの、ちょっと、うしろ、見て…



うわ…



ちょっと、うん…、ね…?



うん…ちょっと、ね。
神がかった光景に言葉を失いながら、目の前に佇む奥宮へ進みます。


寶登山神社の奥宮、御社です。本気で神前に進むのに気持ちと呼吸を整えました。尋常じゃないですね、この存在感。
御本殿内が写り込まないように正面を避けて写させていただきましたが、ぎりぎりといったところです。本来はあまり撮らないほうがいいと感じました。(特にこの日は)


御眷属様は狼さんなので、こちらも狛犬ではなくて狛狼さんですね。肋骨が浮き出た痩せたお姿で、お優しいというよりかは畏怖を感じました。右側の狼さんよりこちらの狼さんの方がまだお優しげだったので、こちらもギリギリセーフといった感じで撮影させていただきました。ありがとうございます。


ご参拝後に、また元の鳥居のあたりまで戻って境内全体を引いて撮らせていただきました。いや、これは本当に現実の世界なんでしょうか?と思いながら佇んでいました。初登拝で、このような幽玄な世界の中に入り込ませていただけたことに深く感謝するとともに、感動して言葉がうまく出てきませんでした。
よく似た後ろ姿
ここでちょっと不思議なことがありました。
奥宮の境内は鳥居と二体の狛狼さん、奥宮の御社と小さな社務所のほかは特に建物らしきものはなく、視界を遮るような障害物がないためにぐるっと周りを見渡せます。そのため集まってきている参拝客の方の様子も自然に視界に入ってくるのですが、ふと、一人だけ足取り軽やかにタッタッタと弾むように歩いている人の後ろ姿が目に入りました。
おや?とその方向を正視すると、ポニーテールをした若い女性が参拝を終えたのでしょう、足取り軽やかに下山道の方へ帰っていくところでした。
私も含めて他の参拝者の皆さんが静々とゆっくり歩いているのに、そのポニーテールの女性の軽くさらっとした身なりで通り過ぎていく様子が異質に思えたんですね。参拝の方はショルダーやバッグなどを最低一つは身につけているものですが、その人物だけが完全な手ぶらでした。
それともう一つ、私には気になることがあり数秒その姿を見つめていました。
その視線に気づいた友人。



どうしたの?何かあった?



あ、いや、あの人。あの人だけ身軽だなって思って。



あ、あの人?ほんとだ、足取り軽やか!



荷物持ってないんだよね、なんか目に止まっちゃって。
しばし二人でその後ろ姿を見ていましたが、すっと参拝者と風景の中に消えていきました。
私が気になったのは、その人物がやけに自分に似ていたからでした。後ろ姿だけとはいえ、ちょうど自分が10代後半か20代前半くらいかなと思う姿によく似ていたんですね。姿だけではなく、歩き方や動く仕草が。
そう思って歩き出そうとした時、



なんか、未來楽さんに似てたね。
と友人がつぶやいたものですから、内心ギョッとしてしまいました。
あまりに幽玄で夢の中のような不思議な空間にいたこともあって、まるで違う時空から来たもう一人の私が、やはり同じような気持ちで参拝したかったこの場所にひょいっと現れて「来れた、来れた〜!」と喜んで帰っていくかのように見えたんですね。
(やっぱり、似てたよねえ…)そのポニーテールの女性が消えていった方向を見つめた後、私たちも下山することにしました。
下山して麓の御本殿へ


下界です。寶登山山頂から下りて、夢から覚めたような、ほっとしたような、勿体無いような、不思議な気持ちになりました。


手水舎に灯りが入っています。すっかり遅くなってしまいました。こちらにも御参拝をと思ったのですが、階段を上がっていったところでちょうど拝殿の扉が閉められるところでしたので、一礼だけして帰ることにしました。本来の目的の奥宮参拝は達成できましたしね。


電球色って見るとほっとします。柔らかい光に見送られて帰路につくことにしました。最寄駅までは徒歩10分程度でしょうか。道なりにまっすぐなので迷うことなく到着しました。


寶登山神社の最寄駅である長瀞駅。風情がある駅舎ですね。木造の建物に広いガラス窓、駅舎の看板に書かれた旧字体の『驛』の文字。傍の丸い郵便ポストもよく似合っています。
同行してくれた友人にお礼を伝え、お互い楽しい一日に感謝しながらそれぞれの帰路につきました。
またぜひ再訪させていただきたい、素晴らしい神社であり霊山でした。ありがとうございました!











