ある日のことでした。頭の中に浮かんだ『八幡(はちまん)』の言葉。どうにも気になっていた頃のことでした。
いつものように境内にて掃き掃除をしていた時に、たまたま御参拝の方に声をかけられて雑談をしていました。
御参拝者さんからのおすすめ
御参拝のご婦人いつもお掃除ありがとう。
それはそうと、あなたは金鑽神社は行ったことはある?あそこも素晴らしいところよ?



かな?かなさな神社、ですか?
行ったことがないですが、そんなにおすすめですか?



埼玉の奥のほうでね。ちょっと行き難い場所だから私も気軽には行けないんだけど、一度行ってみる価値はあると思うわ。山の中にある神社ですごいエネルギーに溢れていたわ〜!
そんな会話をしてから一週間ほど経った頃、宮司さんとお話する機会があったので、教えていただいた金鑽神社のことを伺ってみました。



武蔵国二宮ですね!



にのみや?



埼玉県の神川町にある神社で武蔵国二宮ですね。本殿がなくて、御神体である山そのものを拝する神社なので私は特に好きですね。素晴らしいところですよ!
そんな会話を交わしてはいたものの、辺鄙なところにあるとのことで、すぐに行こうとはならなかったのですね。
ただ、気になって周辺を調べていると東石清水八幡神社があるとのことで『八幡』の言葉とも繋がったので、これは意を決して向かってみるかと重い腰をあげることにしました。
東石清水八幡神社へ
東石清水八幡神社があるのは埼玉県の本庄市児玉町というところでした。
御祭神は、誉田別尊(ほんだわけのみこと)様、姫大神(ひめおおかみ)様、神宮皇后様とのことで。


由緒書きにびっしりと歴史が記されていました。
この後向かう金鑽神社の記述もあります。ここで繋がった!と気づきました。


石の鳥居の前で一礼して境内に入っていきます。


随身門は市の指定文化財だそうです。


先ほど潜ってきた随身門の他に、能楽殿と日清戦争の図も指定文化財となっていました。


児玉党という豪族がいたんですね。児玉党というのは、平安後期から鎌倉にかけて武蔵国で力を振るっていた武士集団 だということです。
今の埼玉県本庄市・児玉郡付近を中心に秩父や上野国辺りまで勢力を広げていたとのことで、当時の『武蔵七党』のうちもっとも力があった豪族らしいです。武蔵七党とか、ちょっと厨二病をくすぐられる響きです。かっこいい。


八幡宮の神額の『八』の文字が、向かい合った鳩の姿で描かれています。
龍の彫り物も見事ですね。


随身門も鳥居も御本殿もいずれも長い歴史を感じさせる素晴らしい存在感だったのですが、私は境内の巨大な椿の木に心惹かれました。


かなり大きな木だったので、枝に隠れるようにたくさんの小鳥が集まっていたようで姿は見つけられませんでしたが、大合唱しながら飛び回っているようでした。


東石清水八幡神社以外にも神社やお寺がたくさんある地域なんですね。城跡もあるようなので、かつての豪族の存在の名残なのかな〜と思いを馳せました。
山が御神体の『武蔵国二宮 金鑽神社』
巨大な石鳥居
さて、東石清水神社から、金鑽神社が鎮座します神川町へ向かいます。神、に、川。地名からして特別な意味をもっていそうだな〜なんて思いながら、初めて向かう町はどんな町なんだろうと心躍らせていました。


いや〜本当に遠かったです。なんとか辿り着きました。
ですが、遠くまで移動してきた疲れも吹っ飛ぶほど、目の前に聳える巨大な石鳥居に圧倒されました。
緊張しつつも、鳥居の前で一礼して参道を進みます。
参道を進むと見えてくる多宝塔


こちらは多宝塔です。あまりにぼつっと建っていたのと、特に由緒書きのようなものが見当たらなかったので「え?これ?」と驚いてしまいました。
この時は特にしっかり拝見することもなかったので、神川町のサイトを参考にさせていただきます。
金鑚神社境内にある多宝塔は、塔全体の高さが13.8メートル、相輪の高さが4メートルあります。屋根は二重になっており、こけら葺きという方法で葺かれています。多宝塔は、心柱の墨書から、天文3年(1534)に武蔵七党で名高い丹党の豪族安保弾正全隆が、子孫の繁栄を祈って建立したことがわかります。平成20年度に屋根葺き替えと相輪の補修を行いました。
神川町のサイトより
丹党(にうとう)との豪族のお名前が記載されていました。この『丹(に)』という文字が出てくると、ちょっとドキリとします。丹とは丹砂(たんしゃ)のことです。脱線してしまうのでここでの深堀りは控えさせていただきますが、日本の丹砂の歴史やゆかりの地について調べてみると興味深いことが分かります。
拝殿を経て、御神体である御室山の山頂を目指す。


参道を進むと、また鳥居が見えてきます。こちらに拝殿があるので、拝殿に手を合わせてから御神体である御室山へ向かいます。


ご由緒書きには【旧官・国幣社の中で本殿がないのはここのほか、全国でも大神神社(奈良県)と諏訪神社(長野県)だけである。】とあります。本当に珍しいんですね。


いろんなハイキングコースがあるようですが、ここから御室山(御岳山)山頂の奥宮への軽登山です。
山が御神体なのに奥宮とはどうなっているのかな〜と思いつつも、進みます。


山頂までの道で天然記念物の鏡石が見られるようですね。


道自体はなだらかな山道で歩きやすいのですが、足を踏み外したりしないように注意は必要です。


ここにも椿の花が咲いています。見事な大木を見上げながら登っていきます。
特別天然記念物「鏡石」
しばらく一人で山道を歩いていたところ、前方でわいわいと人の話し声がするのが聞こえてきました。どうやら年配のガイドさんが男女二人連れを案内しているようでした。



ここが鏡石ですよー!



ほんとだ。ツルツルしてますね。



結構でかいっすね!



今、天然記念物なんてなっちゃってますけどねえ、私が子供の時はみんなで上から滑って遊んでましたよー!今みたいに柵なんてなかったんでねえ。



天然記念物が滑り台…自由でいいな。


こちらが鏡石です。
ガイドさんの昔話が耳に入ってきたので、この上を坊主頭の子供達がぎゃーぎゃー言いながら代わりばんこに滑って遊んでいる光景が目に浮かびました。
でも相当に大きな岩ですし、傾斜も見た目以上に急なので昔の子供達は逞しかったんだな〜と妙に感心してしまいました。
この鏡石のすぐ脇に上に続く階段があります。この階段を登ったところが山頂のようです。


きちんと整備されていて、さほど苦労せずにここまでこれました。山の中でのこういった設備は維持管理が相当大変だと思います。有難いことです。
東屋から、いよいよ奥宮へ
階段を登り切ったところは、予想に反して少し開けた場所になっていました。そして、たくさんの椿の花が咲き乱れていました。


いやあ、綺麗です!


そして、この場所のエネルギーが凄まじかったです。


どちらを向いても光が舞っているような状態で、頭上には大きな椿が咲いて、たくさんの鳥のさえずりが重なりあって賑やかでした。


樹勢が強いです。手前から奥の方まで花がたくさん咲いていました。


石仏群の案内板がありましたが、特にこの場所には見当たりませんでした。
この少し開けたエリアに東屋があり、その東屋の脇を通り抜けるようなかたちでさらに登っている山道がありました。
その細い道を少し上がっていったところ…


360°ぐるりと視界が開けた山頂に出ました!
この小さな御社が奥宮ですね。御神体が山なので、象徴的にちんまりと据えられていました。


金鑽神社の御神体である御室山は標高300m程度なので、さほど高くはないのですが、立地がいいからでしょう、障害物がなくかなり遠くの方まで見渡せました。
ただ、ご覧の通り柵などは設置されていないので、景色に釣られてあまり端の方へ行かない方がいいですね。
思いっきり深呼吸して、ここまで無事に登ってこられたことに感謝をお伝えして、大満足で下山させていただきました。素晴らしい経験をさせていただき、ありがとうございました!











